琉球リハビリテーション学院 作業療法学科ブログ

学校法人智晴学園 琉球リハビリテーション学院 作業療法学科のブログです。作業療法のこと、学院での様子など、いろいろ発信していきます!

作業療法士からみた認知症ケアのエッセンス

みなさんこんにちは。作業療法学科教員の中村です。

最近、朝晩が涼しくなってきたので体調管理には気をつけないと、ですね。

 

さて、私は、琉球リハで教員になる前は、主に認知症を中心とした高齢期で働いてきました。

(作業療法には、高齢期の他に、身体障害領域、精神科領域、小児領域、地域領域…など、いろいろな対象者・時期を対象とする領域があります)

 

認知症をもつ人の生活支援の中で、しばしば問題になるのが「食事」です。

空腹・満腹の感覚が曖昧になり食欲が一定でなくなったり、道具を使用することが難しくなり食べこぼしが増えたり、食事の間に注意が維持できず完食できなかったり…ということがあります。

ここで注意しなければいけないのは、介護をする人の困りごとにフォーカスしすぎて、認知症の人ご本人の困りごとを無視しないこと、です。

ご本人の動作・表情…しっかり観察して、食事という動作のどこに困り感を持たれているかを把握して、支援に結び付けていきます。

 

支援の方法はケースバイケースなので、残念ながら「これをやったから大丈夫!」という万能な案はありません。ただし、ヒントはあります。

それは、認知症が比較的重くなっても保たれる「感覚」を利用することです。

一般的に、記憶したり計算したり…という機能と比べて、見る、触る、匂いをかぐといった感覚機能は、かなり重度な人にも維持されています。

また、そういった感覚から若い頃の動作を通じて獲得した動作が引き出されることがあります。

例えば、施設や病院にありがちな軽いプラスチックの食器ではなく、使い慣れた陶器の食器を使うことで、慣れ親しんだ動作を引き出すことができるケースがあります。

(当然、うまくいかないこともあるので、その時は違う支援方法を考えることになります)

認知症の人の安心を保障し、なじみの動作が引き出せるような環境を作ることは、認知症の人が持つ力を引き出すヒントになります。

ですので、それぞれの人の「生活歴=これまで、どこで、誰と、どんな生活をしてこられたか」を知ることはとても大切です。

琉球リハの作業療法学科の講義でも、認知症の人がやりたい活動・できるようになってほしい活動を分析したり、やりやすくなるような関わり方・環境の作り方を考える練習をします。

人、作業(活動)、環境をバランスよく見て、その人の大事な生活を支えるのは、作業療法士の得意な技術です!!

 

そんなジワリと楽しい作業療法の仕事に興味をお持ちの方、次回のオープンキャンパスは10/7(土)です。

参加者の方に、作業療法の楽しさを感じていただけるような学科体験を企画中です。

ぜひぜひ、ご参加くださいね。お待ちしています。

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